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ISOにおけるPDCAの役割2

こんにちは!創研BizISO事務局です。すっかり、春らしくなってきましたが、まだ夜間や早朝は寒いですね。近所の梅の花は今が満開です。今年は、花粉症皮膚炎を発症してしまう人が増えているといいます。ちなみに、私も・・顔が痒いし、赤いプチプチができるし憂鬱です。病院で薬を処方してもらい、大分楽になりました。さて、今回は前回の2019年3月2日の続きのISOにおけるODCAの役割2です。是非、お読みください。

4.PDCAサイクルをまわすための最初の一歩
(1)大きな課題を要素分解し,分析・評価する
 このように見てくると,PDCAサイクルをまわすための最初の一歩は,「その組織の大きな目標,つまり,上記の野球というゲームで言えば<勝つ>という目標に対し,品質や環境,情報セキュリティといった領域ごとの課題,つまり,同じく上記の野球と言うゲームで言えば<投手力が低い>という課題を抽出し,さらに,その領域を構成する要素,つまり,同じく上記の野球と言うゲームで言えば<投手力を構成する要素>に分解すること」と言えるのです。つまり,「分析・評価ができる状態にすること」が,PDCAサイクルをまわすための第一歩だ,ということです。

(2)解決すべき課題の抽出と優先順位づけ
 このようなステップを踏めば,「解決すべき課題は何か? を明確にできる」ことがおわかりいただけるでしょう。ただ,解決すべき課題が抽出されると,次に別の大きな課題が見えてきます。それは,「課題だらけ」「課題がありすぎる」という問題です。解決すべき課題が明確になったとしても,あまりにその課題が多すぎた場合,「やるべきことが多すぎる」がために活動そのものが停止してしまう可能性が出てきます。これは,PDCAサイクルを積極的にまわす文化が根づいていると考えられるような大企業などでもよく見られる問題です。このとき行うべきは「優先順位づけする」ことなのですが,「優先順位づけ」において,ISO規格認証で重要になるのは,「リスク」という視点です。つまり,「リスクの大きい課題から順に対応していくこと」が,ISO規格認証における優先順位づけのポイントなのです。

5.対処すべき課題が明確になる=目標を明確にする,だから,PDCAのサイクルがまわる
(1)正しくステップを踏めば,自然と課題は明確になる
 ここまでに見てきたような「正しいステップ」を踏むと,実は対処すべき課題は自然と明確になります。逆に言えば,対処すべき課題をひねり出さなければならないような状況だとすれば,その進め方に課題があると判断できるのです。課題を大きいママでとらえている,つまり,構成する要素が洗い出せていないか,要素分解できていないか,あるいは優先順位づけの段階で「リスク」という視点が抜けモレてしまったか,のいずれかの状態にある可能性が高い,と考えられるのです。

(2)ナゼ,ISO認証ではビジネスプロセスフローや業務マニュアルが必要なのか?
 また,PDCAサイクルをまわせるように「正しくステップを踏む」という視点からとらえると,ビジネスプロセスフローや業務マニュアルがISO規格認証で重視される理由もわかるのではないでしょうか。ビジネスプロセスとは,言い換えれば,課題がある可能性のある要素。また,一つひとつのプロセスが他のプロセスと連携する部分も,課題がある可能性のあるポイントになるわけです。また,各プロセスは,いつ,どこで,誰が,何を,どのような目的で,どのように行われているのか,を確認し,リスクを洗い出すのですから,業務マニュアルが必要になる,ということなのです。

(3)改めて,PDCAとは?
 このようにして,自然と明確になった課題から優先順位づけの上で,目標=課題解決の対象とし,その実現に向けて,いつまでに,誰が,何を,どのような目的で,どの場所で,どのように対処していくのか,つまり,5W1Hの視点で明確に定めたものがPlan=計画です。
 以降は,計画どおりにDo=実行する,実行状況とその成果が目標とした小さな課題の解決に,また,大きな課題の解決につながったのかをCheck=分析・評価する,そして,目標達成状況=課題解決状況と,小さな目標,大きな目標との間にあるギャップに対してAction=改善する,ことになります。

(4)Actionに関する誤解 ~ Actionとは何か?
 ここで1点,よくあるActionに関するよくある誤解を確認しておきます。
Actionという言葉が「実行」や「改善」と訳されることから,CheckやDoとの違いがよくわからない,ここでやるべきことが何かよくわからない,というケースがあるようです。
実はActionでやるべきは,大きな目標達成に向けたギャップ分析と提案ととらえられるのです。
たとえば,課題解決に向けて計画通りに実行したのに成果が見られない,としたなら,目標と計画との間にギャップがあったか,あるいは,目標として設定した解決すべき課題の優先順位が実は低かったか,といった可能性があります。他にも,小さな目標は達成したものの,大きな目標の達成に向けては,まだまだやることがある,といった場合も考えられます。これを再び野球の例で考えてみると,「投手力」という細分化して抽出された課題に対して,「投手の獲得」を計画し,実際に獲得できたが,「投手力の強化につながっていない」あるいは,「勝てない」というケースが考えられる他,「投手の獲得」はできたが,次にやるべきは「投手陣の基礎体力づくりだ」というように,まだまだやるべきことがあると考えられているケースがこれにあたります。このようにとらえれば,Action=改善の位置づけも,よりわかりやすくなるのではないでしょうか。それでも「わかりにくい」という場合は,CとAを合わせて,「S=See=測定・分析・評価・個別と全体の状況把握」とする考え方もあります。

(5)PDCAは,「まわし続ける」もの
いずれにしても,このように見てくると,PDCAサイクルというものは,一度まわせばそれでよい,ということにはならないことがわかるでしょう。そもそもの目標は,「大きな目標を達成」すること。野球の例で言えば,「勝つこと」です。この大きな目標は,「勝てないことが課題」というママでは具体的な課題解決活動につながらないから,要素分解し,解決すべき優先順位が高いものから順に解決していくことになる。その際,計画化して実際に取り組んでも,うまくいくこと,いかないことが出てくるから,見直す必要が出てくる。PDCAサイクルは,「常にまわし続けるもの」と言われる所以でもあるのです。

以上です。

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